アナログとデジタル

アナログとデジタルについて説明します。

 

 例として、Aさんがマイクで話した声を、離れたところにいるTくんに送って、スピーカーから音を出すという仕組みを考えます。

 

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 Aさんが話した声は、空気の振動としてマイクに入ります。マイクでは、空気の振動の強弱を電圧の強弱に変換します。この電圧の強弱(電気信号)は伝送路(電線)を伝わってTくんのところに届きます。Tくん側では、受け取った電圧の強弱に合わせてスピーカーの振動板を振動させるとAさんの声をTくんが聞くことができます。

 

 ところが、送った電気信号は伝送路を通っていく途中でノイズ(雑音)の影響を受けて少し歪んでしまいます。歪んでしまった電気信号は元に戻せないので、スピーカから出る音には雑音が混ざってしまいます。 

 

 このような方式をアナログといいますが、デジタルは少し違います。

 

 マイクで声(電気信号)を電圧の強弱に変換した後、アナログ/デジタル変換器(A/D(エーディー)変換)で0か1の数値に変換して伝送路(電線)に乗せます。その後、受け取った側では0か1の信号をデジタル/アナログ変換(D/A(ディーエー)変換)して元の電気信号に戻します。

 

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 もちろん、0か1の信号に変換するといっても0か1の文字が電気回路の中を伝わっていくわけではないので実際は次の絵のようになります。 

 

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 A/D変換した後、「0は0V」「1は5V」の電気信号になります。これを伝送路(電線)にのせてTくんのところに届けます。受け取った電気信号は絵のようにノイズが乗っていますが、「2Vより大きければ5V」「2Vより小さければ0V」というように判断して受け取った側と同じきれいな電気信号に戻すことができます。

 

 これがデジタルの強みで、アナログは一度歪んでしまうと本来の電気信号とノイズが混ざってしまいノイズを取り除くことができないのに対して、デジタルは伝送路で歪んでも元のきれいな信号に戻すことができるのです。

 

 もちろん、デジタル信号も結局は「0V」「5V」といったアナログ信号で送っているので、ノイズが大きい場合は元に戻せないこともあります。

 

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 ただし、デジタルの場合は一度誤ってしまった信号も訂正することができます。たとえば、下の絵のように送りたい信号が左側の7個の場合、おまけの一つを追加して全部で8個とします。おまけに追加する8個目の信号は8個全部足すと偶数(2で割り切れる数)になるようにします。たとえば、左側7個を全部足すと4だったらおまけの8個目は0、3だったら1という具合です。

 

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 こうしておくと、受け取った側で全部足して奇数(2で割り切れない数)だったらどこかあやまっていることがわかります。これを「誤り検出」といいます。これではどこが誤っているかわからないので誤りを直すことはできませんが、「誤りがあるみたいだからもう一度送り直して!」とお願いすることはできます。

 あやまりを直すのはもう少し複雑な仕組みが必要で、これを「誤り訂正」といいます。

 

 誤り訂正技術は、CD(コンパクトディスク)や地上波デジタルテレビ放送、深宇宙探査機との通信など世の中のいろいろな所に使われている重要な技術です。

 

 

電気の基礎(電圧と電流と抵抗)

電気の基礎(電圧と電流と抵抗)

 

 初めての記事は、電気のお話をするうえで避けられない電圧(でんあつ)と電流(でんりゅう)について説明します。

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 図のように電池と電球を電線でつないでスイッチをON(つなぐ)にすると電球が点灯します。OFF(はなす)すると電球は消えます。これは、電池のプラスから電気が流れて電球を通って電池のマイナスに戻ってくるからです。スイッチで電線を切り離すと電球は消えます。

 

 電球が点灯するにはある程度の量の電気が電球に流れなければなりません。電気の流れる量のことを電流といい、電流が大きいほど電球は明るく点灯します。電流をたくさん流すためには、電圧を高くします。電圧というのは電気の圧力(押す力)です。

 水道と同じと思えば簡単です。水圧(水の押す力)が高いと一度にたくさんの水がながれます。水圧が低いと水は少ししか流れません。

 

 この関係をオームの法則といいます。名前は覚えなくても良いですが、家電を使う上でも知っていた方が良い大事な法則なので以下に整理します。

 

 オームの法則を式で表すとこのようになります。

 

 電圧(V)= 電流(A)× 抵抗(Ω)

 

電圧:電気を流すための圧力(押す力)

    単位はV(ボルト)といい、電気を流そうとする力の大きさを表します。

電流:電気の流れる量  

    単位はA(アンペア)といい、電気の量を表します。

抵抗:電気を消費する部品

    単位はΩ(オーム)といい、電気の流れにくさを表します。

 

 ※ここでは、電球を抵抗(ていこう)という言葉に置き換えています。抵抗というのは電気が流れるのを妨げようとする部品のことです。流れるのを妨げられた電気は熱や光に変わり、消費されます。従って、電球も一種の抵抗ですので、一般的な呼び名である抵抗という言葉に置き換えました。 

 

 

 <式が意味すること>

 ・抵抗が変わらなければ、電圧を大きくすると電流が大きくなる

 ・電圧が変わらなければ、抵抗を下げると電流はたくさん流れる

 

(例)

  電圧5Vで抵抗が100Ωだったら、電流は0.05Aになる。

 電圧5V = 電流0.05A × 抵抗100Ω

  抵抗が100Ωのまま変わらなければ、電圧を10Vにすると電流は0.10Aになる。

  電圧10V = 電流0.10A × 抵抗100Ω   

  電圧が5Vのまま変わらなければ、抵抗を10Ωにすると電流は0.50Aになる。

   電圧5V = 電流0.50A × 抵抗10Ω 

 

最後にこのような回路を用いて離れたところにいる人とコミュニケーションをとる方法を紹介します。

 

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 この絵のように、この回路を使うと離れた場所にいるAさんとTくんの間でコミュニケーションをとることができます。Aさんがスイッチを押す(ONする)と回路がつながってTくんの電圧計が0Vから5Vに変わります。AさんがスイッチをOFFにすると、Tくんの電圧計は0Vになります。

 ※抵抗の両側にあるものを電圧計といい、抵抗にかかる電圧を測ることができます。

 

 これだけだと何のことかわかりませんが、二人の間で電圧計が「5Vになったら~をする」とか「5Vが2回続いたら~をする」「5V、0V、5Vと来たら~をする」など、いろいろな約束をあらかじめ決めておけば、離れた二人の間でコミュニケーションをとることができます。この約束を通信の世界では「プロトコル」といいます。

 

 インターネットなどの本で「TCP/IP(ティーシーピーアイピー)」というのを聞いたことがあるかもしれませんが、このIPはインターネットプロトコルの略でインターネットで通信する際のお約束のことです。

 

 

1/fゆらぎ

 はじめてのブログ記事は、20年位前に自分のホームページに書いた1/fゆらぎに関する解説をのせます。当時は、家電製品の広告でファジーとか1/fゆらぎという言葉がよく使われていました。

 このブログでは、電気製品の広告などで使われているよくわからない言葉について、できるだけ簡単に解説していきたいと思います。

 

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f:id:toshiya19701203:20180917113555g:plain星の瞬き(ゆらぎについて)f:id:toshiya19701203:20180917114402g:plain 

 

 人はなぜ星空を美しいと感じるのでしょうか?

 

 最近の研究では、星の瞬きのゆらぎと人のα波(安らかな気分の時に出る脳波)のゆらぎに共通性があることがわかってきたそうです。そして、このゆらぎを”1/fゆらぎ”と呼んでいます。

 

 ここでは、この”1/fゆらぎ”について少し詳しく解説してみようと思います。少し数学的な話になりますが、なるべく簡単に説明しますので数学が苦手な人も読んでみてください。

 

 なお、このページは、”ゆらぎの不思議な物語”(佐治晴夫 著,PHP研究所 発行)を参考にさせていただきました。

 

 *タイトルの横で瞬いている星は、1/fゆらぎで明るさを変化させたアニメーションになっています。 

 

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 はじめに、”1/fゆらぎ”と言う言葉の意味から説明します。

 

まず、”1/fゆらぎ”のfとは何でしょうか?

 

これは、英語のfrequency(周波数)の頭文字をとったものです。ところで、”周波数って、なに?”という人もいると思いますので、簡単に説明します。

 

 私たちが自然現象を観測するとき、その現象を何かの値(数字)に置き換えなければなりません。例えば、音の大きさを測るときは、マイクで音(空気の振動)をうけて、この大きさを電気信号(電圧)に変換し、測定します。星の瞬きについても、その明るさの変化を光度という値で表現することができます。 

 

 ここで、星の瞬き(明るさの変化)を、グラフ(横軸:時間、縦軸:明るさ)に書いてみます。(図1)

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図1 星の明るさの変化(パソコンによるシミュレーション)

 

 星の明るさの変化を横軸を時間にして、グラフにしてみると図1のような複雑な波形になります。ゆらぎを調べるには、このように時間によって変化する星の明るさをグラフにして、波として表現します。

 

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 ところで、波(波形)には、このように複雑なものばかりでなくもっと単純な形のものもあります。たとえば、次のような波形を考えてみてください。

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図2 単純な形の波形

 

この波は、規則正しく1から-1の間を振れています。このように単一の周期で振動する波を正弦波と呼びます。そして、この1から-1までの振れ幅を振幅と呼び、波のエネルギーの大きさを表します。

 

 また、この波は1秒間(1sec)の間に2回振動しています。この1秒間に何回振動するかを振動数又は周波数と呼びHzという単位で表します。この波の周波数は2Hzということになります。このように周期的に振動する波の形は、振幅と周波数で表すことができます。

 

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 つぎに、1/fゆらぎを説明する上で重要な数学的手法について簡単に説明します。それは、フーリエ変換という方法です。

 

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図3 フーリエ変換の理論

 

 まずはじめに、図3の一番上の波(合成波)をみてください。図2で説明した正弦波と比べると複雑な形をしていて、これまで説明してきた周波数(又は、振動数)と振幅という値では表現できそうもありません。

 

 しかし、その下の3つの波(正弦波A・B・C)を見てください。これは、図2で説明した正弦波であり、周波数と振幅で波の形を表すことができます。そして、なんと一番上の波は、この3つの正弦波の合成でできているのです。

 

 すなわち、複雑な合成波もこのような周波数(振動数)の異なる正弦波に分離すれば、それぞれの正弦波の周波数と振幅という値で表現することができるわけです。そして、複雑な波を周波数の異なる単純な波(正弦波)に分離する数学的手法をフーリエ変換と呼びます。

 

 波というものは、どんなに複雑なものでも、このように単純な波(正弦波)の合成で表すことができます。言い換えれば、規則正しい波のグラフは、リズムをあらわしているともいえます。そして、音楽がそうであるように、宇宙全体もまた幾重にも折り重なったリズムから出来上がっているんだと言うことが解ります。

 

 そこで、フーリエ変換という手法をつかって、どんな周波数の正弦波がどのくらいの大きさで含まれているのかを調べれば、複雑な波でもその性質を調べることが可能になります。そして、このようにどんな周波数の正弦波がどれくらい含まれているかを調べることをスペクトル分析といいます。

 

 太陽の光を、三角形の形をしたガラス(プリズム)に通してみると、赤から紫までの美しい虹色の光が見えます。こうすることで、無色透明にみえる太陽の光は、このような違った色の光の組み合わせでできているという事が分かります。これも、一種のスペクトル分析といえます。 

 

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 それでは、いよいよ本題の1/fゆらぎに入りましょう。

 

はじめに書いたように、1/fゆらぎのfは、frequency(周波数)のことです。そして、1/fでゆらぐと言うことは、ゆらぎをスペクトル分析すると、その周波数と振幅の関係が1/fの関係にあることを示しています。すなわち、1/fゆらぎとは、高い周波数の波ほど振幅が小さく、低い周波数ほど振幅が大きくなっている正弦波の合成波であるといえます。 

 

 この関係を、グラフに書くと図4(a)(b)のようになります。

 

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図4(a) 1/fゆらぎの周波数特性(スペクトル分析結果)

 

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図4(b) (a)の関係にある正弦波の例

 

 このような周波数特性を持つ波を図5に示します。これが、1/fゆらぎの波形の一例です。

 

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図5 1/fゆらぎの波形

 

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 次に1/fゆらぎのおもしろい特徴についてお話ししましょう。図6は、図5の矢印の部分を拡大したものです。

 

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図6 1/fゆらぎの波形(拡大)

 

 このふたつの波形を比べてみると、とても似かよっていることが分かります。このように、一部分に全体の形が畳み込まれているような性質は、”フラクタル(fractal)”と呼ばれています。

 

 これは、1/fゆらぎの重要な特徴の一つです。

 

 そして、このフラクタルという特徴は、自然界に非常に多く見られます。例えば一本の樹木や草木を注意深く見ると、幹から枝への分かれ方や、枝から葉への分かれ方など同じようなパターンのくりかえしが見られます。また、山の形や雲の形などもフラクタル性を持っています。

 

 そしてまた、1/fゆらぎも自然界に多く見られます。はじめにも書いたように、星の瞬きやα波の波形、そして波の音や風の強さなども1/fゆらぎであると言われています。とくに、人の耳に心地よく聞こえる潮騒の音やそよ風などは、1/fゆらぎの傾向が強く見られるといいます。

 

 音楽でもクラッシック音楽や心の鎮静効果を伴う宗教音楽などに1/fゆらぎが多く見られるそうです。

 

 このように、1/fゆらぎという性質は、”美”や心地よさという人の感情と深く関わっているようです。